正義感の振りかざし
昨日,或る法律事務所のHPを眺めていたときのこと。
ポリシーとして,「弱者の立場に立ち・・・」ということを,
堂々と掲げている弁護士さんの,
そんな正義感あふれる記載を眺めながら,
ふと思い出したことがあった。
正義感をふりかざして失敗した,私自身の失敗談である。
忘れもしない小学校4年生の頃。
私のクラスには,12人キョウダイの女の子,Tちゃんがいたのだが,
さすがに,12人も子どもがいると,親も大変。
当然の如く,子どもの身なりに,
十分な時間やお金をかけることは難しい。
Tちゃんは,服装や髪の毛が,あまりきちんとしていないせいで,
男子から,からかわれたり,女子からも,いじめられている雰囲気があった。
当時,異常に正義感の強かった私は,
その「からかい」のようなものが,
どうにも許せない気持ちで過ごしていた。
勿論,ほんの小学4年生だから,
大した思考過程も経ていない,
単なる本能としての「正義感」。
そんな中,1人の男子が,いつものように,
Tちゃんの身なりをからかっていた時のこと。
私は,その時の男子のからかい方が,どうにもこうにも許せず,
黙っているTちゃんの隣で,
「そんなこと言うもんじゃない!」とばかりに,
思わず,その男子に向かって,自分のペンケースを,思い切り投げつけた。
ペンケースは,男子のおでこに,上手いこと命中。
と言っても,単なる小さなペンケースだから,けがをするはずもなく,
「いてぇ。なんだよ。ばーか。」程度の反応で,すべては終わり。
・・・と思っていたのだが,
なんとその夜,その男子の母親から,
我が家に電話がかかってきた。
内容は,
「おたくのお嬢さんが,うちの息子にけがをさせた」
というもの。
ハァ?という感じでしたが,
こういう時というのは,何も言えないもの。
この男子は,今でも忘れない,とんかつ屋の息子だったのだが,
母親と一緒に,菓子折りを持って,
とんかつ屋まで謝罪に行った,冴えない記憶がある。
そして,Tちゃんに関しては,もっと恥ずかしい,
「正義感の振りかざし」をしてしまったことがある。
これは,26年経った今でも,後悔していることなのだが・・・。
小学4年生の,幼い正義感を持った私は,
「どうしたら,彼女がいじめられなくなるのだろうか」と真剣に考えた末,
「皆と同じような新しい洋服を着ていれば,いじめられなくなるだろう」という
実に安直な結論に行きついた。
そして,私は,恥ずかしいことに,
「彼女に,洋服をプレゼントする」
という愚行を犯してしまったのだ。
彼女と同じ,小学4年生の私が,
洋服をプレゼントすることほど,愚かしいことはない。
しかも,自分が親から買ってもらって,
まだ着ていない洋服を選び出して,
袋に入れて,彼女にプレゼントするという,愚行。
26年経った今も,このときの自分の行為が,恥ずかしく思えてならない。
なんという,傲慢な行為。
なんという,上から目線。
小学4年生の私には,その行為が,いかに愚行であるか,
気づくことができなかったのだが,
その後,あのときの行為が,かなりの愚行であったことに気がついた時,
顔から火が出るような思いに陥った。
そして,26年経った今も,忘れられない。
「正義」という文字を見るたびに,
私は,あの時のことを思い出して,
穴があったら入りたいような,恥ずかしい気持ちになる。
弁護士の仕事は,「正義感」とか「弱者救済」とか,
そんな概念がつきまとう仕事だけれど,
そんな状況に遭遇するたび,
私は,小学4年生のときの,自らの傲慢な行為を思い出す。
「正義感」「弱者救済」と,「傲慢」は,まさに紙一重。
私は,弱者救済を堂々と掲げられるような,大物ではない。
普段の生活でも,仕事でも,できるだけフラットな目線で生きていきたい。
正義感は,或る意味,
ナルシスティックに,心地いいものだけれど,
反面,とてもネガティブなものでもある。
今の私は,そういう気持ちで過ごしている。
ちょっとしたHPを眺めながら,
ふとそんなことを思い出した今日この頃です。
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